« 【外国人地方参政権問題】三宅久之「非常に危機感を持っている」 | トップページ | 言葉狩りに近いような »

【正論】ジャーナリスト・櫻井よしこ 鳩山首相であり続ける意味なし

【正論】ジャーナリスト・櫻井よしこ 鳩山首相であり続ける意味なし(産経新聞 09年12月22日)

≪首相の信念による「反米」≫

 政権発足から3カ月が過ぎた鳩山由紀夫首相が問われているのは、いまや政策ではなく、政権存在の是非である。鳩山政権の政策は、内政外交ともに矛盾と破綻(はたん)が目立ち、およそすべての案件で行き詰まっている。とりわけ日米関係の深刻さは際立っている。

 18日、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に参加した首相は、クリントン米国務長官に普天間飛行場移設問題を先送りする方針を説明し、理解を求めたという。

 首相の説明ではクリントン長官は、「よく分かった」と答えたそうだが、それは到底、了承したという意味ではないだろう。首相はこれより前の15日、基本政策閣僚委員会で、移設先については与党3党で検討する方針を決めた。

 社民党などの小政党を深く関与させるという意味であり、普天間問題が白紙化されていく可能性は大きいだろう。しかしそれは社民党の所為ではなく鳩山首相自らの選択なのだ。民主党政権の反軍事、反米の色彩の強さは、誰の所為でもなく、首相の信念ゆえだと言うべきだ。

 ≪危険極まりない自衛隊削減≫

 首相は16日、かねての持論である、有事に限って米軍に出動を求める「常時駐留なき日米安全保障」について、「首相という立場になったなかで、その考え方は封印しなければならない」と語った。

信念としては持ち続けるが、首相として、現在はそれを前面に掲げることはしないという意味だ。

 首相は、「長期的な発想では、他国の軍隊が(日本に)居続けることが適当かという議論は当然ある」とも述べている。この考えを突き詰めていくと、日米同盟の破棄につながりかねない。

 では、その先の安全保障政策を首相はどう考えているのか。日本から米軍の常駐をとり払って、それを日本の国益につなげていく道はただひとつしかない憲法9条を改正し、自衛隊をまともな国軍とし、軍事力を現在の水準よりかなりの程度強化する。まともな国として、国家の基本である外交力と軍事力の整備に積極的に取りかかる道だ。しかし鳩山首相はそのような努力をまったくしていない。反対に、鳩山政権の力学は、軍事に関することのすべてを否定する方向へと働いている。

 17日の閣議で、首相は、防衛省が求めていた自衛官の減少停止を受け容(い)れないと決定した。

 この件について鳩山政権は「3500人の自衛官の増員要求」を認めないのだと説明したが、それは正しくない。

 例えば陸上自衛隊の場合、18万人の定員を3万5千人減らして14万5千人体制にすると防衛大綱で決定された。加えて、公務員改革でさらなる削減が求められ、結果、最悪の場合、自衛隊員の新規採用がゼロになりかねない危機的状況に陥っているのだ。

 深刻化する中国の脅威に備えるためにも、自衛官をこれ以上減らすことは日本の安全保障の深刻な危機を招く。その危機を前に、防衛省が要請したのは自衛官の削減を打ち止めにしてほしいということだった。周辺の危機的状況を見れば至極当然の要請さえも鳩山政権は認めず、さらなる削減を決定したのが17日の閣議である。

つまり、鳩山首相には、米軍を退けた後に生ずる空白を、自ら補う考えはないのである。中国や北朝鮮の脅威にもかかわらず、軍事力は整備しないのである。この首相の考えを進めていけば、非武装中立に行き着く。鳩山政権の真の姿は、実は旧社会党政権だったと言わざるを得ない。

 ≪定住外国人でも同じ構図≫

 首相が描く日本国の形を鋭く抉(えぐ)り出したのが11月5日の衆議院予算委員会における稲田朋美氏の追及だった。氏は「定住外国人に国政参政権を与えることを真剣に考えてもよいのではないか」という首相の発言とともに、「日本列島は日本人の所有と思うなという発想は、日本人の意識を開くことであり、死を覚悟せねば成就は不可能であろう。(中略)だから私がその先兵を務めたい」という驚くべき発言について質(ただ)した。

 首相は自身の言葉について、「現実の問題、状況の中で対処していかなければならない」としながらも、「もっと開明的な、開かれた日本を作っていかない限り、この国の大きなテーマの解決は極めて困難」だと答えている。

 「死を覚悟」してまで、日本列島は日本人だけのものではないという価値観を徹底させたい、「その先兵」になりたいと切望した首相は、いま、それらの問題に現実的に対処しなければならないと語る。米軍の常駐なき安保論を、とりあえず封印したのと同じ構図だ。本心は変わらないのである。

 首相が米国に約束した普天間移設問題は、首相のやり方では解決しないだろう。他方、日本国の主権者は誰かという問題については、首相の考えを実現させてはならない。どの問題についても展望が開けず、また開かせてはならない首相であれば、氏が首相であり続ける意味は、もはやないのである。(さくらい よしこ)

|

« 【外国人地方参政権問題】三宅久之「非常に危機感を持っている」 | トップページ | 言葉狩りに近いような »

備忘録」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548513/47089822

この記事へのトラックバック一覧です: 【正論】ジャーナリスト・櫻井よしこ 鳩山首相であり続ける意味なし:

« 【外国人地方参政権問題】三宅久之「非常に危機感を持っている」 | トップページ | 言葉狩りに近いような »