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防衛政策なき民主党

09年12月17日、民主党政権における防衛予算の基本方針が閣議決定された(防衛予算の基本方針を閣議決定 PAC3追加配備、自衛官増員は見送り)

政府は新たな「防衛計画の大綱」を1年先送りしたため、1年限りの基本方針を作成し、「防衛予算は極力抑制する」方針で決定したのだ。たぶんこの方針は来年策定される「防衛計画の大綱」にも反映されるであろうことは想像に難くない。

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日本一国だけで見た場合、非常に厳しい財政状況の中「極力抑制」せねばならないのは当然のことだ。ところが周りを見渡すと、中国の国防費は21年連続で二桁の伸びを示しており、韓国でも年平均で8%ほどの伸びを示している。一方のわが国はここ10年でマイナス5%と毎年抑制されている状況なのである。

日米安全保障条約で米国の核の傘の守られてきたわが国はそれでも良かったのかもしれない。

しかしながら現政権与党である民主党は、対等な日米関係を謳い、普天間問題で日米同盟を危機的状況に陥れ、そんな状況の最中であるにもかかわらず、中国に600人の大訪中団を派遣。いち政党の幹事長であるはずの小沢が天皇陛下の意思を勝手に代弁し、憲法と象徴天皇制に関わる非常にデリケートな問題であるにもかかわらず、中国要人とのルール破りの会見を設定するという非常に中国寄りの姿勢を鮮明に示している。

また、小沢の持論であった「日米中正三角形論」が民主党内で強まりつつあるという(民主内で強まる「日米中正三角形論」山岡氏、上海のシンポで展開)。盧武鉉前大統領の「北東アジアのバランサー論」と似てなくはない古くからある論である。

「日米中正三角形論」に関しては過去に小沢はこんな発言をしている。

世界週報 06年9月19日

 ──最近、小沢さんは「日米中正三角形論」を言われていますね。その意味合いは。

小沢 正三角形でも二等辺三角形でもなんでもいい。たまたまそんな話になっただけで、「正」か「二等辺」かが問題じゃなくて、日米中関係が三角形になってないから問題だということです。米中の一辺だけが存在していて、日本はあっちの方にポツンと点として存在していて、辺を成していない。格好のいい三角形を成すような関係にしなきゃ駄目だということですよ。しかもできれば、日本がその要にいて、三国間の利害調整を図っていくという立場にならなければならない。

 ──日本は無視されているということですか。

小沢 問題外、蚊帳の外ということ。だれも相手にしていない。そう言うと、日米は仲がいいじゃないかとか言う人がいるけれど、全然それは違う。日米関係は形があるけれど中身がない。日中は形も中身もない。最近、僕はキッシンジャーの言葉を引用するんだよ。彼らが仲間内で日本について何と言っていたか、朝日新聞で出ていたけれど、「日本人は信用できない」といった言い方、考え方で話しているんだ。彼らにとって日本はその程度なんだ。同盟国でも何でもない。アメリカに尻尾振ってついてくる限りは、いい子いい子と言っているだけなんだ。日本は本当の同盟国にならなきゃいけない。

上記のような考え方であるならば尚更のこと、わが国の防衛政策は非常に重要になってくるということだ。

当たり前の話であるが、国際関係のパワーバランスは軍事力以外の何者でもない。経済的に貧しかった旧ソ連や、改革解放前の中国が何ゆえ国際的に大きな力を持ちえたか。強大な軍事力と核兵器の保有を背景としていたからである。

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正三角形のひとつの辺になりたいのならば、わが国も他国と遜色ない防衛力が必要になってくる。そうでなければ、米国と「本当の同盟国」にはなれないし、そもそも中国から相応の相手と見なされない。

小沢は中国との関係強化に躍起になっている最中なのだろうが、今現在は「朝貢関係」と言わざるを得ない。「朝貢関係」から真の「戦略的互恵関係」になるには防衛力の向上が必須なのだ。

米国の他の同盟関係にある国は、韓国でGDP比2.7%、英国やオーストラリアでGDP比2.4%もの国防費を費やしているのである。概してわが国はわずか0.9%しか防衛費に費やしていない。もし、日本が韓国並みになろうとすれば防衛予算は14兆1000億円に増やす必要がある(「揺れる日米安保・上」日経新聞)。わが国が防衛費を抑制できたのは日米安全保障条約のおかげである。

民主党が本当に対等な日米関係を目指し、日米中の正三角形の一辺をなすのならば、「言うべきは言う」だけでなく「なすべきはなす」(【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 「対等な同盟」論に欠けるもの)必要があるのだ。

そうであってこそ中国との「戦略的互恵関係」も成り立ち、三角形ができあがるであろう。

そこまでのビジョンと覚悟があるならば私も民主党の政策を支持する。

しかしながら、現状は「言うべきは言う」が「なすべきはなす」ことのない、非常に偏った動きを示しているし、誰もそのことに触れない。全く考慮されていないとしか言いようがない。

「対等な日米関係」「中国との戦略的互恵関係」「日米中正三角形」の議論から、ありうべき防衛力の話が完全に欠如している。これでは「中国の走狗」「亡国政権」と言われても仕方がない。

ちなみに反米左派的な政権だった韓国の盧武鉉政権の国防費は、盧武鉉前大統領の在任中に年平均8.3%の伸びを示し、歴代政権で5番目に高い水準であった。

国家の予算は国の内外にその意思を示す役割をも担う。今こそ、積極的な防衛力の向上を予算で示し、米国と中国にその意思を明示すべきではないか。それでこそ正三角形は成り立つ。

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